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「技能」は就労ビザの中でも取得者が多いもののひとつで、外国料理の調理師や動物の調教師、ソムリエなど現場で自分自身の技量を活かしている「職人」や「技術者」というような職業に就いているというようなイメージです。
では、どのような就労ビザなのかを見ていきましょう。
「技能」ビザで日本で就くことが出来る仕事について、次のとおり定められています。
(分かりやすくするために本来の文章と表現を少し変えています。)
「日本の公私の機関と契約したうえで産業上の特殊な分野で、熟練した技能がないとできない仕事」
産業の分野を以下の3つに分けています。
産業の分野 | 具体的な職業の例 |
外国特有もの (上陸基準省令第1号~3号) | 1号:外国料理の調理人 (菓子職人も含む。日本料理は除外) 2号:外国特有の建築様式の技術者 (例:ゴシック、ロマネスク、バロック、中国、韓国など) 3号:外国特有の製品の製造や修理の職人など (例:外国特有のガラス製品、ペルシャ絨毯、外国特有の機械や設備など) |
日本より外国の方がレベルが高いもの (上陸基準省令第4、5、8、9号) | 4号:宝石、貴金属、毛皮を加工する職人 5号:動物の調教師 8号:スポーツの指導者 9号:ソムリエ |
日本に技術者が少数しかいない (上陸基準省令第6、7号) | 6号:石油・地熱等の掘削調査をする技術者 7号:パイロット |
さて、外国人が就く職種が「技能」に当てはまったでしょうか。
当てはまったのなら、「さぁ、在留資格(ビザ(visa))の申請…」というわけにはいきません。
大きく2つの必要な条件(要件)があります。
※報酬要件は他の就労ビザの説明と全く同じですから、もし他の就労ビザのところで読んだ方は2番目の「「技能」ビザに当てはまる職に就く能力があるか」だけ読んでください。
具体的な額は決まっていません。
外国人働く先の機関で働いている日本人と同じ職位の場合に同等かそれ以上であればかまいません。
もし、その機関で働く人がその外国人初めてだったり、雇用形態がそれぞれ違っていて比べる相手がいないなどの場合は、他社の外国人に就かせようと思っているのと同じ職種の賃金を参考に入国管理局から判断されます。
なお、報酬の考え方に注意が必要です。
日本企業で「基本給が低く、各種手当を加算しての他の企業と同等の給付額にしている」というところがたまにあります。
この考え方を外国人の報酬に当てはめてはいけません。
在留資格(ビザ(visa))で要求されている「日本人と同等かそれ以上の報酬」とは、あくまで労働の対価である「基本給」部分だけの話です。
外国人の基本給を低くし、日本人の基本給と合わせるために色々な手当てを乗せていく方法では条件を満たしません。
なお、外国人の報酬を日本人より抑え、その理由を「日本人と同等の額の報酬だと外国人の母国の生活水準だと高給に当たる」などというのは通じません。
「技能」は基本的に「実務経験年数の条件を満たしているか」が重要です。
ただし、求められる実務経験年数が就く職業によって違います。
「10年以上」が多いことは確かですが、全てそうではありません。
就こうと考えている職業はどうなのか確認してください。
職業 | 要件(実務経験年数など) |
外国料理の調理人 (菓子職人も含む。日本料理は除外) | (原則) 実務経験年数「10年以上」 (実務経験年数に外国の教育機関で調理経験がある外国料理について専攻した期間を含めることが出来る)(※1)
(例外)(2国間の協定による) タイ料理の調理師の場合 ①~③の「全て」を満たすこと ①実務経験年数「5年以上」 ②タイ労働省発行のタイ料理人としての水準が「初級以上」の証明書があること ③在留資格(ビザ(visa))申請の直前1年間で、タイ国内でタイ料理人として、タイ国内の平均賃金以上の報酬で働いていたこと |
外国特有の建築様式の技術者 (例:ゴシック、ロマネスク、バロック、中国、韓国など) | (原則) 実務経験年数「10年以上」
(例外) ただし実務経験年数が10年以上ある外国人の監督下で実務を経験している場合、実務経験年数は「5年以上」でよい |
外国特有の製品の製造や修理の職人など (例:外国特有のガラス製品、ペルシャ絨毯、外国特有の機会や設備など) | 実務経験年数「10年以上」 (教育機関で実務に関する科目を専攻した場合、その期間を実務経験期間に含めることが出来る) |
宝石、貴金属、毛皮を加工する職人 | |
動物の調教師 | |
スポーツの指導者 | 以下の「どちらか」に当てはまること ・実務経験年数「3年以上」 (日本で指導するスポーツについて教育機関で科目を専攻した場合や、そのスポーツの選手としてで報酬などを受けていた場合はその期間を実務経験期間に含めることが出来る) ・選手としてオリンピックや世界選手権など国際的な大会に出場したことがある |
ソムリエ | ①②の「両方」を満たすこと ①(必須) ・実務経験年数「5年以上」 (教育機関でワイン鑑定など関する科目を専攻した場合、その期間を実務経験期間に含めることが出来る)
②(以下のどれかに当てはまること) ・国際ソムリエコンクールで入賞以上の経験 ・出場者が1国から1人に限定されている国際ソムリエコンクールに出場したことがある ・ワイン鑑定などで法務大臣が認める資格を持っている |
石油・地熱等の掘削調査をする技術者 | 実務経験年数「10年以上」 (教育機関で実務に関する科目を専攻した場合、その期間を実務経験期間に含めることが出来る) |
パイロット | 飛行経歴250時間以上 (なお、2016年12月27日までは1,000時間以上でした) |
(※1)の解説
例えばフランス料理の調理師として技能ビザを申請する場合は外国の調理の学校で「フランス料理」について学んだのであれば、その期間を実務経験年数に含めることができる、ということです。
ですからフランス料理の調理師として技能ビザを申請するのに調理学校ではイタリア料理を専攻していた場合、その期間は実務経験の年数に含むことはできません。
(例:フランス料理の調理師として技能ビザを申請する場合、外国の調理の学校でフランス料理にについて学んだのであれば、その期間を実務経験年数に含めることができる)
働くことができるのは「会社」に限定されていません。
この就労ビザの場合は働く先の条件として「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う…」と決められています。
これは「技術」「人文知識」「国際業務」共通です。
「本邦」とは日本のことです。
「公私の機関」は割と広い範囲を意味します。
「公の機関」は日本国の各官公庁や都道府県、市町村役場といった地方公共団体、独立行政法人といったところです。
それ以外にも日本国内に事務所がある日本以外の国や日本以外の国の地方公共団体も「公の機関」といえます。
「私の機関」は日本国内に事務所がある株式会社や有限会社などの会社法人は当然ですが、個人事業主も同じく日本国内に事務所があれば含まれます。
(ただし、個人事業主の場合は法人に比べ信用度が低いため、受け入れ機関としては難しいという難点があります。)
これ以外に「公私」を分けにくい機関として公益法人というものもあります。
なお、どの機関にもいえることです機関自体が「適正」で「継続性」があることが求められます。
「適正」とは簡単にいうと機関が「法律を守っている」ということです。
ですから機関が違法行為などをしていないというのは当然のことです。
また、もし許認可など必要な事業をしているのであれば、必要な許認可を取得していることも重要です。
「継続性」とは「外国人が働く機関がずっと業務をし続けてきた(し続きていく意思がある)」ということです。
外国人を日本国内に呼び寄せるためだけに作った機関は当然ですが「継続性がある」とは認められません。
重ねてになりますが、この就労ビザの場合は働く先の条件として「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う…」と決められています。
この「契約」は雇用契約は当然当てはまります。
しかし、雇用契約でけではありません。
例えば委任契約や嘱託契約なども含まれます。
ただし、どの契約も単発で働くようなものではダメです。
あくまで「継続的に働く」ことを前提とした契約であることが必要です。
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